発症 8 日目にファビピラビルを投与し、翌日から急速に改善した COVID-19 肺炎の 1 例
日本赤十字社伊勢赤十字病院 感染症内科
http://www.kansensho.or.jp/uploads/files/topics/2019ncov/covid19_casereport_200415_6.pdf
症状、検査データともに増悪し、さらに急激な悪化のリスクがあるものと考えられた。この内容を患者に説明したところファビピラビルの使用を希望した。あらためてインフォームドコンセントをおこない、効果に期待をもつものの現状でエビデンスが不足した治療であることを強調して投与を開始した。投与方法、投与量は 1 日 2 回内服で初期の 2 回は 0.9g/回、後は0.4g/回とし第 8 病日夜から開始した。投与初日は夜
間に SpO2 90%台前半となり酸素投与を考慮したが第 9 病日は体温 36℃台で推移し午後には室内気でSpO2 97%まで回復した。3 回の下痢があったが第 10病日には軽快した。第 10 病日に呼吸困難感や倦怠感が軽快し味覚が回復した。血液検査では CRP,LDH 値が低下し AST,ALT 値は正常値になり、尿酸値が上昇した(Table 2)。第 11 病日には平熱が続き嗅覚が回復したが、鼻咽頭ぬぐい液の遺伝子検査結果は陽性だ
った。第 12 病日には夜までに乾性咳嗽が消失した。遺伝子検査は実施しなかった。第 13 病日に実施した血液検査血では血小板数が著増、LDH 値が正常値になり CRP 値はさらに低下した。回復を示す内容であると判断した(Table 2)。第 13 病日、14 病日に連続して遺伝子検査結果が陰性で退院基準を満たしたためファビピラビルを 15 病日夜で投与終了とした。第15 病日の胸部 CT では肺野の斑状陰影は一部に残存するものの改善を認めた(Fig.3)。16 病日に全ての症状が消失し退院した。